2018/04/10 21:18
リールのアタリハズレ問題。
これは巻き心地が軽かったり、重かったり、または、ある程度の負荷がかかった時にカタカタやコトコトなどのノイズ、異音がする等同じ機種とは思えないほど使用感の差が有る事は事実です。
それは上位機種(ステラ、ヴァンキッシュ)であっても普通に存在するので出来れば実店舗で数台実際に触ってみて自分好みの個体を選ぶのが間違い無い買い方だと思います。
それでも、負荷がかかった場合の異音やノイズは無負荷の状態では判別がつきませんが…
また通販やオークション等で購入したものは結構納得のいかない巻き心地の個体だったりします。
カタカタやコトコトなどの不具合は様々な要素が絡んでいるので、ギア等の一部パーツを交換しても解消しない事も有ります。
工業製品は同じ部品でも極微小な寸法のズレが有るみたいで、それがギア類をマウントするボディにももちろん有るわけですから厄介です。
こうなると原因究明は難しくメーカーにクレームを出しても受け入れてもらえないことも多いです。
それを『修理』することはほぼ不可能だと思います。
ではどういった場合に業者にメンテ、チューニングを依頼したら良いのか⁉
もちろん定期メンテナンス(クリーニング、グリスアップ)ももちろんですが、リールを今までよりも巻きを軽くするか重く(しっとりと表現するのが良い気もします)するかなど巻き心地を調整したい場合に依頼していただきたいと思っています。
ギア間のクリアランス、バックラッシュとも言いますが、リールの中で特に重要なパーツであるメインギアとピニオンギアの噛み合いの調整をすることによって、巻きを軽くしたり、しっとり感を高める事が出来ます。
他にも使用するグリスやオイル類、ローラークラッチやベアリングなどももちろん関係しますが、調整後一番効果が大きい、分かりやすいと感じるのはギアのクリアランス調整だと個人的に思います。
メインギアとピニオンギアの噛み合わせにはもちろん隙間が存在します。
というより隙間がないとハンドルを回すことも出来なくなります。
以下は他サイトからお借りした画像です。
このようにギア間には隙間が無いと動かす事が出来なくなります。(リールのギアの形状は画像とは異なります)
どのリールでもローターを手で抑えてハンドルを前後に動かすと僅かにカタカタと音がするはずです。
それがメインギアとピニオンギアの隙間ということになります。
ではクリアランスの違いで巻き心地にどういう変化があるかと言いますと隙間が広いと軽い巻き心地に。隙間が狭いと重く、隙間が無くなると動かなくなります。
また、隙間が広すぎるとハンドルのガタが酷くなり、ファストリトリーブから急にハンドルを止めると「カタッ」音と共に振動も感じるかと思います。ローターも一歩遅れて止まる事になります。
逆に狭すぎるとゴリゴリとギアノイズが発生します。
小さな事かも知れませんが私もそうですが神経質な方は釣りに集中出来なくなるほど気になる、大きな事だと思います。
では、バックラッシュをどう調整するか。ということですが、シマノは全バラ、ボディを割らないと調整出来ません。
メインギアの根元に薄いワッシャーを複数枚入れて調整します。
シマノの新品、1度もOHしていないリールを何台も分解して来ましたが同じ機種でもそれぞれワッシャーの枚数、厚みは違います。
工場出荷時にもある程度調整してから出荷されている事の現れだと思いますが、最後の微調整用のワッシャーは最薄0.05㎜なんです。
それでも十分に薄いですが、0.05㎜のワッシャーが入っているかいないかでは明らかな違いが出ます。
人間の指先の感覚は0.05㎜の違いを明確に識別出来ます。
もちろん気になる、気にならないの差は有ると思いますが分かります。
で、長々と書いてきましたが本論としては
『0.05㎜のワッシャーでは感性に訴えるシビアな調整が出来ない。』
ということです。
ギアのバックラッシュをごまかすためにボディのネジの締めつけ具合を緩くすることも出来ます。しかしそれではすぐに調整が狂いやすくなります。
しっかりと適正な締め付けトルクで組み上げた上でギアのバックラッシュの調整が出来ているのが理想です。
で、必要になるのが0.01㎜、0.03㎜の超極薄ワッシャーです。この二種類の組み合わせで0.01から0.04㎜の調整が可能になります。
これはリールチューニングの世界では有名な「ヘッジホッグスタジオ」さんが販売している商品です。
このワッシャー、シムに出会ってから自分の思い通りの巻き心地に調整することが容易になりました。私はクリアランスをギアノイズが出ないギリギリまで近づけて調整し、しっとり感を高めるチューニングが好みです。
もちろんデフォルト状態より0.01㎜ずつ抜いていくことで巻きは軽くなっていきます。もちろんその分ガタは出る事になります。
しかし0.05㎜のシム、ワッシャーでは調整不可能だった、神経質な調整が可能になります。
最後になりましたが、今までとはひと味違った巻き心地を手に入れたい方は是非当店までOHをご依頼下さい。