2018/09/14 01:32

シマノクイックレスポンスシリーズのハイエンドモデル16ヴァンキッシュのOH作業風景を一部ご紹介します。


今回ご依頼の16ヴァンキッシュは巻きは軽いものの、空転時にノイズが出る症状がみられました。

ご依頼主様の希望によってドラググリスをしろくまグリスに変更することと、社外品のラインローラーの取り付けもOHと同時に行います。

まずはドラググリスから

各パーツをクリーニングした後


フェルトをグリスに漬け込みます。

その時間にドラグノブ内部のクリーニング、グリスアップも。その後スプール一式を組み立てます。

次はラインローラーの交換

から
こうなります。
写真はmtcw製ラインローラー零です。

交換は取り付け方向、内部のシムの順番さえ間違えなければ簡単な作業です。

14ステラ以降のラインローラーの不具合は良く聞く話です。シャラシャラと音がし始めたら交換するほか方法はありません。
社外品は定期メンテナンスが必要になりますが、ノーメンテの純正品よりベアリングの寿命は長く

なり、もし音が鳴り始めても内部のベアリングを交換するだけなので長い目でみるとコスパは良いかも知れません。

OH依頼時に同梱していただければお取り付けさせていただきます。


ではいよいよボディを割っていきます。

グリスでまみれています。

ドライブギアの内側にもグリスが残っています。

グリスが多過ぎるのはトラブルの原因になりかねません。メインシャフトに付着すれば巻きが著しく重くなります。


全てパーツをバラバラにし、丁寧にクリーニング、グリスアップしていきます。


クリーニング、グリスアップ後のボディ内部です

無色のオイル、グリスを使用するので何も塗っていないように見えますが、各部最適な塗布量で組み付けていきます。


お次はローラークラッチのクリーニングです。


このパーツが汚れていると音がうるさくなったり巻き心地が悪くなったりします。

結構重要なパーツです。

磨耗したらベアリングと同様に交換するしかないですが、当ショップではバラしてクリーニングし、玉のひとつひとつを傷や割れが無いかチェックし、異常がなければ注油して組み直します。


そしてここからが巻き心地を大きく左右する、シム調整に入ります。
68番で示されているパーツの増減でギアのクリアランスを調整していきます。
通常複数枚シムは入っていますがその1番厚みが薄いものを交換していきながら調整していきます。
今回のリールにはデフォルトで2枚のシムが入っていました。
ハンドルの空転時コロコロっとノイズが出ていたのでクリアランスが若干詰められているような印象を受けました。
ローターを手で押さえてハンドルを前後に動かしてもほとんどガタが無かったので間違いありません。
1枚丸々抜いてしまうとガタガタな巻き心地になるのでデフォルトよりクリアランスをほんの僅か広げるために更に薄いシムを複数枚合わせて調整していきます。
写真のシムは若干曲がり⁉ねじれ⁉があったので交換となりました。

この調整はなんと言いますか、うまく行ったときには本当にうれしいんですが、そこに至るまでの過程で何度も組み直すのでかなりめんどくさいんです(笑)
でもこの調整がリールの巻き心地を大きく左右するので1番時間を掛けて慎重に作業します。


当ショップでは0.01㎜、0.03㎜のシムを用いて0.05㎜以下の微妙なクリアランス調整を行っています。
今回は0.05㎜と0.01㎜の組み合わせでガタつき、ノイズが一番少ないクリアランスを見つけることが出来ました。
4度程組み直して最適なシムを探しました。
ローラークラッチの取り付けにも細心の注意を払います。
メインシャフトの軸に対して平行、真っ直ぐにクラッチがマウントされるように丁寧に組み付けていきます。
最後にローター、スプールを装着し、色々な角度でリーリングしてノイズが出ないか確認し完成となります。
ここで納得いかなければシム調整に逆戻りです。
最後はタックル専用のケミカルでキレイに磨き上げでお客様にご請求という流れになります。


作業は随時受け付けていますので、まずは
jotokbmck@gmail.com
までお見積り、納期等お問い合わせ下さい。