2019/05/07 22:31

19年はツインパワーの発売かと予想していましたが、見事にハズレてしまいまして…

まさかのヴァンキッシュがモデルチェンジ。

19ヴァンキッシュは各番手大幅な軽量化が進められ話題を集めています。

プロは立場的に誉めるしかないと思いますが、一般のアングラーからのインプレも大絶賛を集めているようです。


私もアジング目的で1000SSSPGをネット通販で購入しました。

最初に触って巻いた感想ですがザラザラとギアノイズがしてハンドル根本のカチャつきも酷く、更に初動の巻きの重さも有り、期待していただけに少しガッカリしました。

どうせバラして調整するつもりだったのですが、それでもちょっと納得出来ない巻き心地。


ではこの巻きの質感の低下を招いているのは何なのか?という観点であくまで個人的な現在の見解を書き残しておこうと思います。


まずお客様のリール整備をさせていただいて改めて思った事ですが、同じリール、番手であっても巻いた感じが全然違うという事です。

グリスの塗布量もリールによってマチマチですが、巻き感の違いを決定付けるのはやはりパーツの精度(個体差)と組み方(芯出し、シム調整含む)ではないかと考えています。

初めて自分のリールをオーバーホールしたときには分解図を頼りにリールに初めから入れられていたシム、座金を戻して組み上げていました。出来ることと言えばドライブギアとピニオンギアにキレイに噛み合う様に芯出しの調整をする事くらい

で何かが変わったか?というと微妙な違いで大きな変化は体感出来ませんでした。


それからドライブギアのシム調整を行うようになると自分好みの巻き感に近づけられる事が分かり、更にエスカレートして調整の範囲は全てのギアに及ぶことに。


ドライブギアはもちろん、ピニオンギア、中間ギア、ウォームシャフトに入れるシムの厚みの組み合わせを変えることで巻き感は変化していきます。これは良くも悪くもです。


しかも0.01㎜の厚みの違いが巻き感に大きな影響を及ぼします。意外に変化を感じやすいのは中間ギアの間に入れるシム。(14ステラ以降のGフリーボディ。10ステラ系は内部構造が違います。)



それまではメーカー純正のプラスチック座金を入れるか抜くか程度の雑な?調整でしたが、試しに0.01㎜単位でシム調整してみると、明らかな違いが。

カッチリしていながらも、軽くスムーズにハンドルが回るようになります。


ピニオンギアの上下ガタ、また中間ギアのマウントにガタがあるとロッドティップを下に構えた時や横向きにリーリングしたときに上構え時とは違う巻き感や違和感を覚える事も

主な原因はピニオンギアがローターに引っ張られる事によって起こるギアの噛み合いのズレかと思います。(暴れるような感覚)


これをピニオンギアと隣り合うドライブギア、中間ギアのクリアランスを詰めつつノイズが少なくなるポイントへ導くのが私がやたらと拘るシム調整の考え方です。


で、本題の19ヴァンキッシュに採用されているウェーブワッシャーですが、それが使用される目的としてはパーツのガタ、グラツキを抑える事と、衝撃に対するクッションの役割だと思います。

メーカーは大々的にこのワッシャーを使用しているとアナウンスされていませんが18ステラから新たな機構として登場した『サイレントドライブ』の一旦を担っていると思われます。

しかしこのワッシャーが使われていても巻きはザラザラするものも現に存在しています。これはどういうことかと考えると、ウェーブワッシャーを使うにしてもシビアな調整は必要なのではないかということです。


デフォルトの状態ではウォームシャフト下部に入っているシムはウェーブワッシャーと通常のシムの組み合わせです。

これは19ヴァンキッシュ1000SSSPGに入っていたカラーとシム


ウェーブワッシャー1枚だけでガタを取っているわけではなく、ウェーブワッシャーがパーツに掛ける圧力を調整(土台になっている)しているのは通常のシムです。



なのでウェーブワッシャーが最高の仕事をするためにはこの部分のシム調整も必要だと考えます。

これはピニオンギア下部に入っているシム。右側がウェーブワッシャー


しかし、私は根本的にウェーブワッシャーによるクッションの役割によって引き起こされていると思われるギア同士のアタリの微妙なズレ。

これを嫌っています。


0.01㎜の違い、ズレが巻きの質感に大きな影響を与える事を体感しているので0.01㎜以上の可動範囲をギアに与えてしまうと思われるウェーブワッシャーでは『常に一定で安定した巻き心地』を達成するのは難しいのではないかと思うのです。


そこで現段階で当ショップがご提案させていただいているのはウェーブワッシャーのキャンセル化です。

ウェーブワッシャーの代わりに通常用いられているタイプのシムをパーツの規格に合わせて取り寄せ、新たにギアの噛み合わせを調整しております。

仕上がりに個体差はもちろんありますが、デフォルトの状態からの違いを感じていただけるかと思います。


簡単なお見積りですが、18ステラ、19ヴァンキッシュは基本料金3800円+調整シム200円×5~12枚程度で5000円~6000円(ベアリング交換無しの場合。19ヴァンキッシュはウォームシャフト下のカラーをベアリングに交換するチューンをオススメしております。+400円)


現在、18ステラ、19ヴァンキッシュユーザーの方からのお問い合わせ、ご予約が増えてきていましてかなりお客様をお待たせしている状況です。

~2019年5月時点でご検討中の方を除いて8名10台以上待ちの状況です

新たなご依頼は早くて7月以降の作業になってしまうかも知れません。