2019/08/19 17:45



開業から1年以上が経過して、ご依頼を頂き整備をするなかで技術や知識に関しては営業しながら成長させていただきました。

誰も教えてくれない分野の仕事なので、とにかく色んなモデル、番手、症状を抱えたリールを整備し数をこなしていく事が技術、知識を伸ばす最善の方法だと思い、半人前のまま開業させていただきました。

これまでに当ショップにご依頼いただいた方々にこの場を借りてお礼申し上げます。


リールメンテナンス、チューニングの世界は怪しさ満点で、依頼者様からすれば愛用のリールがどうなって戻って来るのか期待と不安の半々だと思います。

私も技術を売ってお金をいただく身なのでそれなりにプレッシャーもあり、調整に苦戦すると辞めてしまいたいと思うこともあります。

しかし、その苦しさを乗り越えた先に技術、知識の向上、成長があり、そしてまた壁にぶち当たり、乗り越えようと努力していくことの繰り返しなんだと、リール整備業から生き方まで学べたような気もしています。

そうして得た知識や技術を還元して行きたいという思いで整備に当たらせていただいています。


そんななか、最近自分の前に立ちはだかる「壁」はズバリ製品公差です。


工業製品は全く同じに見えても微妙な寸法のズレがどうしても出てしまうもので、アタリハズレというものがどうしても生まれてしまい、同じリール同じ番手であっても天と地ほどの違いが巻き心地の差となって表れます。

これは組み方、調整である程度解決出来る問題なのですが、それでも仕上がりに差があるのが現実です。



【ベアリングの選別、シム調整、芯出し】




これが私のリール整備の三本柱で、これで解決出来ない微妙なノイズは製品公差を言い訳に、半ば諦めの境地でお客様にもご理解いただけるよう説明してきました。


工業製品は精度が高くても±0.02㎜が限界のようで、それ以上の精度を求めるとコスト高になってしまいステラなんかは小型番手でも二桁万円するようになるかも知れません。

それで公差が±0.02㎜だと仮定して、パーツの寸法の上限の+0.02㎜と-0.02㎜の組み合わせで組むとなると計0.04㎜の隙間が余分に出来る事になってしまいます。

これがハズレリールを生むメカニズムなんだと理解しています。


しかし最近そんな製品公差の壁をぶち破るべく新たな調整法を考案し、すでに数台実施しています。

半ば諦めかけていたノイズがかなり解消し、今までの苦労は何だったのか?というレベルで効果を上げています。

詳しい事はまだオープンに出来ないのですが、この調整法の精度を上げて行くことによって、「ハズレ」と言われていたリールを復活させ、元々良い巻き感のものは更に良く出来るのではないかと日夜研究中です。

今後の【リールメンテのzamanah】に是非ご期待下さい

今後ともよろしくお願いいたします