2020/05/14 17:55
シマノリールの特徴で有り、最大の泣き所とも言えるウォームシャフト周りの異音。
『この弱点が無ければ』と思うアングラーは多いと思います。
ウォームシャフト周りの異音で感じやすいのは
・スプール上下死点での「カチカチ音」
・スプール下降時の「パタパタ感」
これまではウォームシャフト下に入れるシムを調整することによってこの問題に立ち向かってきましたが、それだけではどうしても取れないノイズが有りました。
私が追い求めている極めてガタの少ない巻き感を達成するため、各部のクリアランスを詰めたセッティングにすると、巻き自体は滑らかになっても何か奥底で蠢くノイズの様なものを感じる事があるわけです。
「原因は何か?」
何度も組み直し、じっくり観察し、耳を極限まで近付けてリールが発するノイズを…
否
リールの【声】に耳を傾けているんだ。
という危ないゾーンに突入したりしなかったりした結果
今のところの結論は
『ウォームシャフトの溝にシャフトピンがどれだけの深さで入るか』
これがキーであると思っています。
基本的にメインシャフトに組み込まれるシャフトピンの調整は特に問題がなければメーカー出荷時のセッティングがベストであると考えています。
しかし原因がよく分からないノイズが発生する個体で検証した結果、シャフトピンと、それを支持するベアリング(18ステラ系はカラー)の間に入れるシムの厚みを変えることによって、ノイズの出方がガラっと変わる事に気付きました。
いままでもこの部分に手を入れなかった訳ではなかったのですが、【純正シム】の増減、厚みの変更だけでは可か不可という感じだったのですが、以前試しに内径2㎜外径5㎜の極薄シムを購入していたものを引っ張り出し、0.01㎜ずつ増減して巻き感を比べた結果…
0.01㎜の違いで「可」が「優」に変わってしまうというショッキングな結果に…
何がショックかと言うと完全に組み上げて確認してみないと結果が分からないという非常に面倒な調整箇所だからです。
もちろんこの調整だけでカチ音等が完全に解消する訳ではありませんが、スプール上下動のスムーズさに深く関係する事であることは間違いありません。
シャフトピンはウォームシャフトの溝の中を滑る様に動いています。
シャフトピンは根本から先端にかけてテーパーがついていて、シャフトとピン双方が1番おいしいアタリ角度になった時に滑らかさであったり、ノイズの低減という結果をもたらすのではないかと考えられます。
純正のセッティングで問題があるものは深く入り過ぎている事がほとんどの様です。
つまりピンが溝に深く入り過ぎている状態。
おおよそ出荷時のシムの厚みは0.05~0.1㎜程度だと思われます。
ここから0.04、0.03とシムの厚みを変えると0.02㎜で明らかに良くなり、0.01㎜、シム無しにするとまた別のノイズがするという具合です。
磨耗することによって馴染む事はあると思いますが初めからベストなアタリ角で組む事によって、その後のパーツの耐久にも関わってくるのではないかと想像しています。
ここまでシビアな調整が必要だとは正直考えていなかったので今後はここの調整にも力を入れていきます。
以前に整備させていただいたリールもこの調整をしていればまた違ったフィーリングをお届け出来たのではないか?
という事も考えてしまいます。
このように調整方法は日々アップデートされています。
再度ご依頼いただいた時には「以前より良くなった」と感じていただけるよう頑張る所存です。
そのうちまた他の新たな調整方法が出てくると思います。
※私がリューターでパーツを削り出したら危険な兆候ですので、そんな記事をブログにアップしている事に気付かれましたらお問い合わせフォームから全力で止めていただければと思います。
基本的には加工ではなく調整を信条としております。
それではまた